今の時代に合わせて働き方が変わらない理由について、経済学の視点から3つの論点に絞って考察してみる

今の時代に合わせて働き方が変わらない理由について、経済学の視点から3つの論点に絞って考察してみます。

ごきげんよう。

今回は、タイトルにもあるように、私が普段会社員として働いていて感じる疑問の中でも、特に感じている、労働環境の改善が遅々として進まないことに対する思いを、思考を深掘りすることでまとめてみようと思い、書いてみます。

思考の整理に使っていただけますと幸いです。

目次

1. 労働市場の硬直性(Labor Market Rigidity)

労働市場には柔軟に変化しにくい特徴があり、新しい働き方の導入が遅れます

雇用契約の固定化

 正社員制度や解雇規制が厳しく、企業が柔軟に雇用形態を変えにくい背景があると考えています。

 実際、私たちが新卒採用で会社と雇用契約を結ぶ際、契約書を見てサインをして、、、という契約で通常行われること行われなかったことが思い出されます。

 このような背景は、労働者の雇用安定を重視する政策や歴史的な雇用慣行が、当時と状況が変わった現在でも惰性的に続いてしまっているからと考えます。

 特に日本では、戦後の高度経済成長期に終身雇用と年功序列が定着し、雇用の維持こそが重要なKPIだったため、雇用維持が企業の責務(責任転嫁)とされていました。

 また、労働基準法や労働契約法により、解雇には「合理的な理由」が必要とされ、簡単には従業員を解雇することができません。その結果、企業は正社員の雇用調整が難しく、新しい雇用形態の導入や労働力の流動性を高める改革が進みにくい状況が続いていることが考えられます。

 実際に私の周りでも、会社を辞められる方は、懲戒解雇など特別な状況を除いて、定年退職以外は自主的な方が多い印象です。

 また、心理的にもまだまだ会社を辞めることは人生の一大事で、周りの人からは「勿体無い」とか、「もう少しがんばってみたら?」というようなことを言われるような環境が普通のように感じています。(田舎だけかもしれないですが。。。)

賃金の粘着性

 2つ目として、景気が変動しても給与体系がすぐに調整されにくく、成果報酬型の働き方への移行が難しいことが挙げられると考えます。

 賃金の粘着性は、労働者の生活保障や労働市場の慣行などによって生じる場合が多いと考えます。

 企業が賃金を下げると労働者の士気低下や離職が進み、生産性が下がるリスクがあります。私もいままさに会社の方針と自分の価値観が合わず、士気が下がっています。。。

 また、日本では年功序列型賃金が根強く、給与は勤続年数に応じて上昇する傾向があり、成果報酬型への移行が難しいです。ゆえに、若くして優秀な方ほど、成果に応じた賃金が払われず、どんどん士気が下がる負のスパイラルが加速しているように感じます。考えたくもないのに、隣のサボっている中年社員の方が給料がいいんだよなあ、って考えてしまうことも、皆さんも一度や二度ではないのではないでしょうか?

 さらに、労働組合の交渉力や法規制によって、企業が一方的に賃金を引き下げることが制約されているため、景気変動に応じた柔軟な給与調整が困難になっていると考えます。上げることも下げることも難しい状況になっていることが容易に想像できます。

業界ごとの慣習

長時間労働や対面重視の文化が残る業界では、リモートワークやフレックス制度が進まない。

2. 適応コストとインセンティブの不一致(Adaptation Costs & Incentives Misalignment)

企業と労働者の両者にとって、新しい働き方へ移行するためのコストが発生し、それが変革の障害になります。

企業側のコスト

    • デジタル化(リモートワーク環境整備、セキュリティ強化)
    • 組織の再編(マネジメント手法の変更、成果主義の導入)

    労働者側のリスク回避

    • 新しい働き方に対応するためのスキル不足
    • 変化に適応できないことへの不安(終身雇用の安心感が強い)

    インセンティブのズレ

    • 経営層は従来の管理方法を維持したがる(オフィス勤務の方が管理しやすい)
    • 労働者も慣れた働き方を続けたがる(対面の方が評価されやすいなど)

    3. 制度・規制の遅れ(Regulatory & Institutional Lag)

    労働市場を取り巻く制度や法律が時代の変化に追いつかず、新しい働き方の導入を阻害しています。

    労働基準法の更新遅れ

    フリーランスやギグワーカー向けの労働保護が不十分で、不安定な働き方を選びにくい。

    税・社会保障制度の非対応

    企業を通じた年金・保険制度が前提となっており、副業や独立をしにくい構造。

    企業文化と評価制度の遅れ

    テレワークやフレックスタイムの導入が進んでも、従来の「勤務時間」や「出社回数」で評価される仕組みが変わらない。

    まとめ

    1. 労働市場の硬直性により、企業も労働者も変化しにくい。
    2. 適応コストとインセンティブの不一致が、新しい働き方の導入を遅らせる。
    3. 制度・規制の遅れが、新しい雇用形態や働き方の普及を阻んでいる。

    この3つの要因が絡み合い、働き方の変革が進みにくくなっているのです。

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